認知症にははっきりとした治療可能な原因を持つものがあります。まずはこれを見逃さないことが重要です。問診により認知症が疑われた場合、以下の様な外科治療が有効な異常が無いかを確認します。
- 慢性硬膜下血腫:外傷後、早い人で1ヶ月、一般的に2〜3ヶ月程度で脳を包んでいる硬膜の下に出血を起こし、認知症のような症状が出ます。手術をすることにより、その症状は改善します。
- 正常圧水頭症:髄液の吸収障害により脳室が拡大する病気です。
- 良性脳腫瘍:脳を圧迫する部位によっては認知症症状を呈します。
又、ビタミン不足や甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモンの異常など、認知機能に影響を与える内科的疾患の影響について検討します。
ビタミンの異常については偏食など食生活に問題が無くとも、胃の疾患によりビタミンの吸収が悪くなり不足することがあります。この場合、不足したビタミンを補充することで長期的に症状を改善することが期待できます。
ホルモンの異常がみられた場合にはその原因を精査すると共に、内服薬により不足したホルモンを補充することで認知症症状が改善することが期待できます。
又、重度の貧血や多血症などの血液の異常、低ナトリウム血症などの電解質異常も認知機能に影響を及ぼすことがあります。いずれも血液検査で簡便に調べることが可能です。又、睡眠導入剤や安定剤などを服用されている場合にはこれらが一定の影響をもたらしている可能性があり、お薬の減量をご提案させて頂くこともあります。