ふるえ
ふるえ
ふるえ(振戦)や痙攣(けいれん)は、自分の意思とは関係なく身体の一部が勝手に動いてしまう症状を指します。
ふるえは、日常的によく見られる症状で、生理的に起こっている場合は大きな心配はありません。ただし、頻繁に繰り返すふるえや、継続的に起こるふるえに関しては、何らかの疾患が隠れている場合もあり注意が必要です。
また、ふるえに似た症状で、手足が硬直したり、ガクガクとふるえたりする「痙攣(けいれん)」があります。痙攣もさまざまな原因で起こるため、原因となる疾患の判別が重要になってきます。ふるえや痙攣の症状で悩んでいる方は病院を受診し、原因についてしっかりと診断をしてもらうことが大切です。
本態性振戦とは、ふるえのみが症状である疾患で、手や腕などの上半身や頭部に症状が見られます。ふるえは左右対称に見られます。大抵の場合、ふるえの程度はひどくはありませんが、中には症状がひどく、日常生活に支障をきたすこともあり、その場合は治療が必要となります。「両手を伸ばしたときに手がふるえる」「首や頭が小刻みにふるえる」「話すときに声がふるえる」といった症状は、本態性振戦である可能性が高いといえます。
脳からの司令を伝える「ドーパミン」という物質が減ることで起こると考えられています。安静時に手足のふるえが起こるのが特徴です。本態性振戦と違って、手足のふるえは身体の左右どちらかに見られ、病気の進行に伴ってふるえが身体の両側に広がっていきます。
何らかの原因で甲状腺が働きすぎてしまい、甲状腺ホルモンの値が高くなることで、身体のさまざまな機能が亢進する病気です。ふるえは、同じ姿勢をとり続けているときによく見られます。ふるえの動く幅は狭く、ふるえの起こる頻度は高いです。ふるえ以外に、動悸や息切れ、体重の減少、多汗などの症状が見られます。
気管支拡張剤や抗精神病薬、抗うつ薬、吐き気止め、めまい止めといった薬剤が原因で、手足にふるえが出ることがあります。一般的に、原因となる薬剤を使用してから3から4ヶ月程度で症状が出ることが多く、薬剤性振戦が疑われる場合は、直ちに使用薬剤を停止する必要があります。原因となる薬剤を中止すると症状が軽減する場合が多いですが、なかには症状が長期に渡って残る場合もあります。
脳梗塞や脳出血の症状にもふるえや痙攣が見られることがあります。急に起こった手足などのふるえなどに加え、ろれつが回らない、手に力が入らないといった症状が見られる場合は注意が必要です。また、ガクガクとした痙攣発作が継続する場合も、脳が原因で起こっている可能性が高いので、すみやかに病院を受診することが大切です。
脳腫瘍が原因でもふるえや痙攣の症状が見られます。左右どちらかの手足がガクガクと痙攣する、手足が突っ張るように痙攣するといった症状が見られます。
てんかんとは、何らかの原因で、脳の神経細胞に異常な興奮が起こる病気で、「てんかん発作」と呼ばれる症状が見られます。てんかん発作の中にはさまざまな種類があり、「手足がガクガクとふるえる」といったものから、「足を曲げたり伸ばしたりする」「手足の一部がピクッと痙攣する」といった発作があります。
自分の意思とは関係なくまぶたがピクピクと痙攣する病気です。左右両側のまぶたに症状が見られ、まばたきの回数が増えたり、眩しさを感じたりといった症状が見られます。40代以降の女性に多く発症しますが、はっきりとした原因はわかっていません。症状がひどくなると、目が開けていられないなど、日常生活にきたすこともあるので、治療が必要になってきます。
顔面の筋肉が自分の意志とは関係なく、ピクピクと痙攣を起こす病気で、左右どちらか片側に症状が見られます。目の周りから症状が出ることが多く、その後、頬や口元などに広がっていきます。
ふるえや痙攣が起こる状況について詳しく問診をさせて頂きます。また、実際にふるえや痙攣が起こっている場合は、手足の状態などを詳しく視診してふるえや痙攣の状態を調べます。
ふるえ、痙攣を起こす原因がわかれば、症状に合わせた投薬治療を行います。また、疾患によって手術加療が必要な場合は、提携病院を紹介いたします。
ふるえや痙攣が起こると、「一体何が原因なのだろう」と不安に思っていらっしゃる方も多いかと思います。ふるえや痙攣を起こす疾患は多々ありますが、脳に原因があるものも多いので、まずは、頭部の検査を受けることが大切です。
当院では、ふるえや痙攣について、脳神経外科医が専門的に詳しく検査、診断をいたします。ふるえや痙攣の症状でお悩みの方は、当院を受診頂ければと思います。